今回の記事は、製造業の社内SEとして働いている私自身の仕事内容を紹介します。
このページは以下のような方に向けての記事になっています。
この記事を読むことで以下のことが分かりようになります。
社内SEに必要なスキルは?
システム開発全般 | 要求分析から設計、プログラミング、保守まで、全ての工程を行います。 最低でもプログラミングスキルは必要です。 |
ネットワーク/セキュリティー | インターネットや社内LANの接続、メールアドレスやIPアドレス、パスワードの管理など、一般的な知識があれば問題ありません。 |
パソコンスキル | 一般企業では様々なスキルレベルの人たちが、パソコンを使用しています。 トラブルに対応できるように、ある程度のパソコンスキルを身に付けておきましょう。 |
コミュニケーション能力 | システム作りにおいては、要望を正しく引き出ことが必要です。 コミュニケーションの能力は重要です。 |
最低でもプログラミングのスキルだけは、習得しておくことをお勧めします。
既存システムの運用、情報インフラの保守、一般事務作業など他のことは働きながら覚えられます。
ですが、必要な人材は即戦力であり、仮に私が採用するとしたらプログラミングのスキルの有無だけは判断の材料とします。
少なくても「プログラミングができる = やる気がある」と判断します。
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社内SEとしての仕事の内容
SE(システムエンジニア)と呼ぶと格好が良いかもしれませんが、プログラムの作成から情報インフラの保守管理、既存システムの運用など、システム関連のなんでも屋さんという感じです。
会社の組織でシステム部門はありません、現在では生産管理の実務と兼任で行っています。
この仕事を行うには何かに特化したスキルが必要というよりも、幅広い知識の方が必要です。
必要なのはシステム開発、ネットワーク、セキュリティーなど、それらの知識があると理想です。
事前に覚えておくと良いですが、多くのことは働きながら身について行きます。
但し、プログラミングのスキルは習得するのに時間がかかり、職場内のOJTで覚えることは難しいと思われます。
企業によって違うかもしれませんが、私が誰かを雇うとしたら即戦力が必要です。
社内のSEとして働くには、プログラミングだけは事前に習得しておくことをお勧めします。
既存システムの運用
既存のシステムとは
既存のシステムというのはクライアントサーバー型の生産管理パッケージシステムです。
このパッケージシステムが小さな工業の基幹システムであり心臓部になっています。
現在のシステムは導入してから2022年現在で15年間になります。
システム運用の作業内容
- 部品表、取引先などのマスター情報の維持管理
- 所要量計算、月次締め処理などのオペレーションの実施
- ユーザー部門への運用指導
- その他、トラブル対応や問い合わせ等
既存システムの運用業務においては特別な知識は必要ありません。
逆にこのような基幹システムを理解できることが、社内SEとして働く前提条件のなるかもしれません。
(やってれば自然に覚えます)
※製造業の基幹システムである「生産管理」については以下のページで解説しています。
工場SEのための備忘録、生産管理とは?
サーバーの更新、パッケージソフトのバージョンアップ
サーバーやクライアントPCの老朽化やハードウェアの保守期限などの理由により、数年に一度はサーバーの更新作業とパッケージソフトのバージョンアップを行います。
パッケージソフトのバージョンアップを行うにはカスタマイズ作業の要否確認やアドオンソフトの稼働確認が必要となるために、比較的工数の掛かる作業になります。
※サーバーの更新、パッケージソフトのバージョンアップは以下のページで解説しています。
意外と手間がかかる「生産管理システム サーバー更新作業」を解説
新規プログラムの作成
上述した生産管理パッケージシステムからデータを取り出して出力するプログラムの開発が中心になります。
基幹システムのデータベースに接続するADOやDOA、それとSQLの知識はある程度は必要です。
開発工数を削減するためにVBAでプログラミングを行っています。
※これからVBAプログラミングを覚えたい方向けのページは以下です。
VBAは難しい?始める前に知っておきたいこと
全ての工程を自分でやります
ユーザー部門へのヒアリング、プログラムの設計、コーディング、ユーザー部門への運用説明など、プログラム作成から運用に至るまでに、必要なことは全て自分で行っています。
大規模なシステム開発になることは少ないですが、全ての作業を自分で行えることは魅力でもあり、それを行える能力が必要になります。
いい加減で良いという訳ではないですが、作成したプログラムは社内でしか使うことがありません。不具合が出ても「ごめんなさい」で済んでしまうことのほうが多いので、IT企業のような外部ユーザーからのシステム案件よりは、気楽にシステム開発を進めることができます。
業務に関する知識とコミュニケーション能力が必要
プログラムを作成する際に依頼者であるユーザー部門の担当者とヒアリングを行いますが、その業種での専門用語がわからないと、システムの要件を正しく理解することはできません。
働いていれば自然に身につくこと、働いていないと分からないことですが、業務の知識を覚えて行かないと社内SEは務まらないはずです。
また、社内ユーザーの依頼内容はざっくりとした事が多いので細かく分解して行く必要があります。
わかったつもり、思い込みでプログラムを作ると使えないものが出来てしまうので、依頼内容を相手から引き出して行くコミュニケーションの能力が必要です。
データ作成
データ作成とは
既存のシステムでは取り出すことの出来ない形式でのデータ作成、依頼の内容が状況に応じて変わるためにプログラミング化できない、もしくは暫定的なのでプログラミング化しない方が効率が良い、そのようなデータを作成して依頼者に提供する作業です。
例えば「○○会社向けの生産実績を出してください」という依頼において、生産実績を出すことは既存のシステムで可能だけど、○○会社だけに絞ってデータを出す機能がない場合は、データベースに直接アクセスしてExcelなどで加工した後に依頼した人に提供します。
データの作成方法
Accessで基幹システムのデータベースとリンクを行い、クエリーでデータを加工します。
それだけで目的のデータができない場合は、Excelに取り出してハンドでデータを加工したり、VBAで処理することもあります。
簡単な内容の時はデータベースツールでデータを取り出すこともあります。
ハードウェアの導入
サーバーPC、クライアントPC、ネットワーク機器等、必要に応じてハードウェア購入手配を行います。
購入後はソフトウェア、ネットワークセキュリティー等を設定して使用できる状態にしてユーザー部門へ引き渡します。
ネットワーク、セキュリティーの管理
社内サーバー、ネットワーク、メール、セキュリティー等の管理を行います。
ネットワークであれば、IPアドレスの割り振りと管理、各クライアントPCへの設定、情報インフラのトラブル対応、メールであれば同様にメールアドレスの管理や各クライアントPCへの設定などを行います。
必要に応じて外部企業に協力してもらうため、深い知識は必要ありません。ですが、例えば固定IPアドレスをクライアントPCに設定したり、メールアカウントを設定するなどの最低限の知識は必要です。
一般の事務作業
システムエンジニアが一般事務作業を行う理由
システムリプレースなどのイベントがあるときは、システム専任でプロジェクトに従事します。そうでないときは一般の事務作業も行っています。
私の場合は生産管理のシステムを導入したために、システムの内容だけでなく運用についても詳しくなり、基幹システムである生産管理システムを運用する傍ら、生産管理業務も兼任するようになりました。それにより安定したシステム運用を行うことが狙いになっています。
生産の計画を立案する、それに合わせた部材の調達を行う、問題が出たら部門間の調整を行うといったシステムエンジニア以外の仕事の方が今ではメインになっています。
現場の仕事は行うか?
時には現場で汗を流して作業を手伝うこともあります。
今は年齢的に忖度が働いて依頼されることが少なくなりましたが、以前は残業や休日出勤で現場作業を行ったこともあります。
システムエンジニアといった職制上、一日中立ったままでの繰り返し作業は不慣れであり、体力的にもメンタル的にもきついですが、その会社で働くと決めたのであればやっておいたほうが良いかと思います。
製造業なので「モノを作って売る」、これが会社としての本業であることを理解しておかないと、製造業のSEは務まらないです。
※システムエンジニアが現場作業を行った体験談は以下のページで解説しています。
きつい?、楽?、システムエンジニアが工場の製造現場を行った感想です。
まとめ
私が行っている社内SEの仕事の内容を解説しました。
いかがでしょうか、感覚的にはシステムエンジニアというよりも少しパソコンに詳しいだけの従業員と言った感じですね。
IT関連で特別何かの分野で深い知識が必要というよりも、幅広く様々なことを知っておく必要があります。
そしてなによりも、勤め先はIT企業でなく製造業であり、「ものづくり」が中心の会社だということです。
長く勤めているとシステム関連だけでなく、他の事務作業や現場作業も行う機会が訪れる可能性があることだけは理解しておいたほうが良いです。